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バガボド 28 (28) (モーニングKC)


井上雄彦 吉川英治
¥ 560 通常24時間以内に発送
★★★★★

バガボド 28 (28) ...
前巻までの地獄のような戦いを終えた武蔵を待っていたのは、沢庵からのキツい問いかけ。夢に見たおつうとの再会の喜びに素直に浸ることもなく、体の傷も癒える前に役人に連れられていく。それにしてもこの役人、70人を斬った者を捕まえに8人で来るとはあきれる。小次郎と辻風黄平とのからみ、又八の語り、全国を駆け巡る武蔵の噂に反応するつわものたちなど前巻までとはうって変わっての展開の早さ。ドラマチックで引き込まれる。前巻までと打って変わった静かな進み方。 常に代わらない小次郎の姿が物語を引っ張っていますね。 戦い傷ついた武蔵は立ち止まることを余儀なくされ、 自分の求めることをもう一度考え直す。 進んでは考え、気づいては迷い、 登場人物は常に自分の生き方に自問自答を繰り返す。 より高みを目指し、理想を問い続け進む武蔵の姿に、 いつも作者の漫画と向き合う姿がかぶってきます。 新しい筆づかい、求める作品を目指しもがき、 絶対にとまることがない作者の姿に、 描かれる物語と同じくらい心を動かされます。 さらに、巻を増すごとにどんどん素敵になる小次郎! 言葉を使わない小次郎の姿は、 やはり言葉では言い表せな...

最後の親鸞 (ちくま学芸文庫)


吉本隆明
¥ 1,050 通常24時間以内に発送
★★★★★

最後の親鸞 (ちくま学芸文...
現代に「悪人正機説」がなぜ流行るのだろう、 という問いと、そもそも「悪人正機」とは何か、 という問いを持って、本書に向かいました。 親鸞が生き、活動した時代の貧困と混沌の在り様、 悪行を選ぶか死を選ぶか、という程 ひっ迫した状況にあった多くの民が、 愚僧と自称する親鸞の信心に出会うことによって救われた事実が 本書にはつぶさに記されていて、 私は得心が出来、感銘を覚えました。 著者が試行した、親鸞における〈信〉の解体は、 ある意味では大いに成功を収められた、と言えるでしょう。 しかし、結論として、親鸞を、信心よりも思想の人とみなされたところには、多少の違和感を覚えました。 最後まで〈信〉に迫る親鸞の気迫を、感じたかった、というのは、 私の我儘でしょうか? 法然と親鸞の違いは、たぶん<知>(「御計」)を どう処理するかの一点にかかっていた。 法然には盛遂できなかったが、親鸞には成遂できた思想が <知>の放棄の仕方において、たしかにあったのである。 悪人こそが救われるべき存在であるという「悪人正機」。 「ただ念仏をとなえるだけでいい」。 吉本は、親鸞とその師である法然との 微妙...

悪人正機 (新潮文庫)


吉本隆明 糸井重里
¥ 540 通常3〜5週間以内に発送
★★★★★

悪人正機 (新潮文庫)
ビートたけし・泉谷しげる・吉本隆明。この3人は東京下町育ちで、塗装業、大工、船大工という職人を父に持ち、そろって下町言葉を捨てず、並外れた業績をなしても庶民感覚を失っていない人たち。本書も糸井重里のインタヴューに答える形で、知の巨人だというのに生活レベルで喩えを持ち出すので、思想というより人生訓という感じがして好感を持てる。 吉本の著書は若いころはがんばって読んだものだ。著述には文章執筆の気負いと精確さをねらうのと思索の現場というものが詰め込んであってかなり難解なところがあったものだ。 この本によって吉本とひさしぶりに再会してみれば、それら著書の現在的な結論が簡潔的に述べてあって、彼のこれまでの営為が分かりやすく俯瞰できた。その中には感覚的な表現も混入してあって、それは懐かしいかつての著書へリンクすることがまかせられていて、それなりに読み応えがあった。 すごいな、と思ったのは、高齢になっても若いころの自分の著述してきたことをしっかり覚えていて責任を持っていることだ。 オウムや黒田寛一など危ない名も出てくるが、こういうことには感覚的な嫌悪感など持ち出さず謙虚に、真摯に取り上げ...

三国志〈1〉 (吉川英治歴史時代文庫)


吉川英治
¥ 798 通常24時間以内に発送
★★★★★

三国志〈1〉 (吉川英治歴...
若い頃は、三国志などを読んでもあまり興味が湧かなかったり、 世の中が十分に理解できていなかったこともあり、それほど面白いとも思わず、 1巻の桃園の巻まで読み切ったところで止まっていたが、 大人になって世の中がよく理解できてきた今読めば、とても理解できるし面白い。 劉備が世の苦しむ民衆を救わんと、義兄弟の契りを結び、張飛と関羽を従え兵を起こす。 ところが、戦功を上げても愚かな人々の前に地位もろくに与えられず、ただ戦場を放浪するのみで、2巻の初めにやっと平原の相(しょう)という地位を得る。 その後、曹操、孫権、と並び、三国(魏、呉、蜀)のトップにまで上り詰める彼と三国の運命とは・・?父が持っていたい旧かなづかいの同書を2回読んでから30年近くがたち、今回現代かなづかいのものを購入して読み出しました。 劉備が黄河の流れをみつめているシーンやせっかく母のために手に入れた茶を母が川に投げ捨てるシーンなどは明確に覚えていましたが、都が混乱に陥るストーリーなどはすっかり忘れてしまっていました。 以前読んだのが旧かなづかいのものであったこともあり、今回購入したものが非常に読みやすく感じ、あっとい...

バガボンド 27 (27) (モーニングKC)


井上雄彦 吉川英治
¥ 550 通常24時間以内に発送
★★★★

バガボンド 27 (27)...
井上雄彦さんの絵はすばらしい。 原作を超えている。画像がよいのでつぎつぎに買ってしまう。 武蔵にバガボンドとつけたネーミングも良い。 これから終局までいったい何冊でるのであろうか。 21世紀武蔵はあんがいこころが優しくて、荒れ果てた東京に住む我々の こころにいや全国の人のこころに小さなともし火を置いてくれている。 ちいさな熱はやがて心を溶解させて、良き人がふえるとうれしい。 ぜひお読みください。バガボンドは毎回楽しく読ましていただいているけど、今回の巻は自分的にあまり好きではない。 なんというか、気安く人を殺しすぎる。人を殺すということの重さというものが表現しきれてなくて、ただ単にヒーローが敵をばっさばっさ殺してるだけな気がしてならない。 これじゃドラゴンボールみたいなのと変わんなくて、バガボンドらしさというのがあんまりでていないなぁと思った。 個人的ではあるけど、あんまり作者の気持ちみたいなのが感じた気のしない巻に思えた。吉岡一門の侍魂を忘れた 多人数による復讐も佳境 武蔵の奇襲によりのっけから足元をすくわれた一門は残りわずか 死んだフリ作戦に武蔵は気づくのか? 自分の刀を...

さよなら渓谷


吉田修一
¥ 1,470¥ 2,930
★★★★★

さよなら渓谷
「悪人」が衝撃的だったので、楽しみでもありつつ、「でも二番煎じになるのでは?」と過度な期待はしていませんでしたが…、ぐいぐい引き込まれ、一気に読み上げました。 幼児殺人事件をきっかけに、過去の集団レイプ事件を紐解いていく(紐解かれていく?)様は、類似した実際の事件とリンクして、読み手に 文章以上の想像力を与えます。 描写力も素晴らしいですよね。私の中では、各場面の風景や家の間取り等、イメージがハッキリ出来上がりました。 もう少し長編であってもいいですね。内容の深さに対して、ちょっとまとまり過ぎた感もあります。(それだけ面白く感じたということでしょうが) 後読感がスッキリしないところも、個人的には好きです。 「何が幸福で、何が不幸かなんて、他人には理解できない。当人たちも本当のところは、解らないのかも…」 と、考えさせられました。 私の母も読んでいましたが、「これからのあの二人の事が心配だ…」と。 ただ、書店のポスターや帯にある「どこまでも不幸になるためだけに、私たちは一緒にいなくちゃいけない…。」という文章から受ける印象は、恋愛小説っぽくも感じ、本の本質とはちょっとズレているの...

ひとかげ (幻冬舎文庫 よ 2-15)


よしもとばなな
¥ 480 通常24時間以内に発送

ひとかげ (幻冬舎文庫 よ...
・・・

三国志〈3〉 (吉川英治歴史時代文庫)


吉川英治
¥ 798 通常24時間以内に発送
★★★★★

三国志〈3〉 (吉川英治歴...
呂布の最期が印象的な第三巻ですが、私は陳宮の健気さが大好きです。 どんな策を献じてもまともに実行してもらえず、すぐに取りやめられたりします。 ふてくされたりもしますが、乞われればなんだかんだで嬉しそうに献策してます。 そして曹操との問答のシーン。 饒舌に堂々としていて、潔く格好いいです。 あの曹操と互角だったです間違いなく。 また、暗愚も暗愚な呂布だけど、陳宮はわりと好きだったんだなぁとなんだかグッときます。 そんなデコボコンビにグッとくる3巻です。 そしてそういう目で読むと、陳登・陳珪親子の小賢しさがこの上ないです。 三国志の中で最強の武将、呂布が死に、矢で射られた片目を食べてしまった夏候惇、敗走する劉備にせめてものもてなしをと妻の肉を出す話など、非常に印象的な場面が多い第3巻です。 第3巻で描かれるのは、董卓や呂布の時代を経て、曹操が都の実権をほぼ掌握した時代です。皇帝をないがしろにする曹操に対して危機感を持つ武将たちが打倒曹操の誓いを立て、玄徳も彼らの仲間となります。ところが、曹操暗殺計画が失敗に終り、玄徳もこの一味に加わっていたことを曹操に知られ、逆賊として討伐される身に...

三国志〈2〉 (吉川英治歴史時代文庫)


吉川英治
¥ 798 通常24時間以内に発送
★★★★★

三国志〈2〉 (吉川英治歴...
董卓が死に、曹操、孫策がどんどん強くなっていきます。 三国時代につながっていく序章というところでしょうか。 読めば読むほど先が読みたくなります。 第2巻は黄巾の乱が治まって、その後に実験を握った董卓が暴政を行い、その董卓と他の豪傑たちが戦うという辺りがが描かれています。メインとなっているのは、董卓の家臣である呂布がとんでもなく強いので、董卓と呂布を仲違いさせるべく、貂蝉という美女が二人に色目を使って騙す物語です。この部分は実話ではなく、貂蝉も実在の人物ではないそうなのですが、三国志のひとつのクライマックスと呼んでも良い盛り上がりを見せています。 この巻では玄徳がいまひとつ目立たないのが玉にきずなのですが、曹操、袁術、呂布といったライバルたちの性格が徐々に明らかになって来ていて、今後に対する興味をつなぎます。 若かりし曹操が力をつけていく様が力強い文体で描かれていく。途中、いなごの大群が出てきたりして、そういう不確定要素が歴史の舞台に登場してくるのが面白い。呂布のクーデターにより董卓の暴政に遂に終止符が討たれ、ようやく平安が戻るかと思いきや、戦乱の相がいよいよ深まっていきます。一...

破獄 (新潮文庫)


吉村昭
¥ 580 通常24時間以内に発送
★★★★★

破獄 (新潮文庫)
個人的には吉村先生のドライで長大な本作よりMONSTERSの簡潔でウェットな白鳥への叙述に心惹かれるのですが・・ こんな男が居たということ、人間の恐るべき可能性を信じることができると思います・ 教養もない小男が、世間を心胆寒からしめるその脱獄とは!? 長旅で一人になったときなどぴったりの一冊だと思います青森、秋田、網走、札幌の各刑務所の脱獄に成功した主人公「佐久間清太郎」の頭脳と体力のすごさに驚かされた。このようなことは、映画の世界だけかと思っていたが実際にあったことだとということで、更に驚かされた。本作品を読むきっかけになったのは、12月末に寒冷の網走へと旅行に行った時に、網走監獄博物館を訪れて、本の主人公「佐久間清太郎」の話を聞いて興味をそそられたからである。脱獄を繰り返す主人公「佐久間清太郎」VS看守との戦い。心理作戦など見事に描かれている。単に脱獄の手段や経緯を綴った物ではなく、時代背景を織り交ぜて監獄の施設の状態や囚人の置かれた状況も知ることができる。また、主人公「佐久間清太郎」が最後に服役した府中刑務所で出会った所長の鈴江の民主的な心が通った処遇により主人公が変わる...

バガボンド 26 (26) (モーニングKC)


井上雄彦 吉川英治
¥ 550 通常24時間以内に発送
★★★★

バガボンド 26 (26)...
まず、一般の人が想像する『宮本武蔵』が存在しないのは事実。史実と違うだの、ありえない戦だの、ただの斬り合いだの、…そこに非難を集中している方とは意見が合いません。確かに史実・現実を気にして読まれる人にはあまりお薦めできません。話の筋もそう進んだ様には感じられず、薄いかも知れません。でも私にはこの巻の『間』がバガボンド全体には必要と感じます。だから評価4。(1下げたのは万人向きではないから。) この巻は武蔵の心情を描くための間ととらえます。70人対1人の戦いでありながら、臨場感を出す音や風景の少なさからある種の緊張を伴う静寂、反して激しく燃える命の奪い合い、「殺し合い」でありながら、時代に遅れ始めた「刀」で答えるある種の実直さを、独特の太い力強い線で描いている。この巻は展開が進むことに重点を置くのではなく、苛烈でありながら静寂な戦の中で武蔵の心と技が、「人に至るまで自然のひとつ、自然に抱かれている」という上泉信綱(秀綱)の至った輪廻に近い境地に少し近づく。しかし今繰り広げている「命の奪い合い」の意味に、過去の自分に疑問を感じはじめる一冊。人間誰もすぐには変われない。変われたとしても何が...

三国志〈4〉 (吉川英治歴史時代文庫)


吉川英治
¥ 798 通常24時間以内に発送
★★★★★

三国志〈4〉 (吉川英治歴...
曹操は北方の袁紹を破り領土を一気に拡大。 その一方で劉備は有名な三顧の礼をもって遂に孔明を迎え入れます。 徐庶から孔明の名を聞きついに出会い軍師に迎え入れるまでのくだりはついつい時間を忘れ、夜を明かして読んでしまいました。 いよいよ孔明ひきいる劉備軍の快進撃が始まり、読み出したらとまらないおもしろさが加速していくのは間違いありません!「江東の小覇王」孫策が若くして病に倒れ、さらに若い弟の孫権が呉を引き継ぐ。中原に目を転じると、曹操が河北の袁紹を遂に滅ぼし、中華制覇の野望をその視野に入れる。劉備は国力、兵力ともに相変わらず微小で、天下から程遠い位置にありながらも、「三顧の礼」をもって、諸葛亮を軍師に迎え入れることに成功する。いよいよ、「三国志」の型が形成され始め、物語は佳境へ突入していきます。 この第四巻には、そうした歴史の激動とともに、この物語のターニングポイントとなる幾つかの印象的な邂逅と別離が描かれています。曹操と関羽の覇陵橋での別れ、曹操の姦計による劉備と徐庶の別れ、そして言わずがなの「三顧の礼」。この中でもとりわけ、曹操と関羽の別離の様は、詩的といえるほどに美しく、息を呑みま...

三国志〈5〉 (吉川英治歴史時代文庫)


吉川英治
¥ 798 通常24時間以内に発送
★★★★★

三国志〈5〉 (吉川英治歴...
強大になった魏の曹操軍が呉をうちにゆく赤壁の戦いの巻。 孔明の弁により魏と全面対決することとなった呉の周瑜は火計を用いて魏軍を粉砕するもののその後孔明の才を恐れて多くの策を弄します。 ギリギリまで追いつめられた状況で全力をもってこれを克服した呉ではありますが、大勝ののちは余計なことをして空回りの連続です。 結局空回りする周瑜は孔明に翻弄されるのみで最後はこの世を去るはめに。 実生活に照らし合わせてみると、呉の行動には多く学ぶべきところがあるような気がしました。 世に名高い「赤壁の戦い」が最大の見所。若き二人の知将、孔明と周瑜が、曹操のお株を奪う見事な計略をもって大勝利を飾り、魏一強時代の終焉を高らかに世に示します。ただ、この戦いを見るにあたって、戦術面だけに着眼するのは、もったいない。戦いの裏で進行する「政治的な戦い」もまた、さながら戦場のごとき熱を帯び、注目に値します。 魏と対峙して、がっちり手を結んでいるかに見える劉備と孫権。が、それぞれの看板軍師、孔明と周瑜は、お互いの大義と実利を絡ませあいながら、早くも「赤壁後」まで見据えて、丁々発止の「知の戦い」を水面下に繰り広げます。敵か...

三国志 (6) (吉川英治歴史時代文庫 (38))


吉川英治
¥ 798 通常24時間以内に発送
★★★★★

三国志 (6) (吉川英治...
軍師孔明の指揮のもと、劉備玄徳の軍が快進撃。 後で振り返ればこの巻の後半が劉備軍の最盛期であることがわかります。 曹操に老いが見られる中、「蜀」が主役として台頭します。 とにかく痛快で、読みだすと止まりません。赤壁の戦いで死地を切り抜けて以降、時流を得た劉備が、蜀を興すまでに一気に台頭します。元々から、武将だけを見れば、魏をも凌ごうかというオールスター軍団。国土と兵力という確固たる基盤を得てからは、それまでの連敗街道が嘘のような、破竹の快進撃を見せます。 翻って曹操の凋落振りは目に余るほど。国力こそは依然三国最強でありながら、自身の指導力には明らかな陰りが見え始めます。分けても、「王佐の才」と謳われた名軍師荀イクを自害に追い込んだのは、完全な致命傷。激情した時も、自信を失いかけた時も、曹操が判断を誤らずにいられたのは、ひとえに彼の忌憚ない諫言があったからこそ。有能な重臣をフル活用することでのし上がった曹操も、いつしか袁紹などと同レベルまでに将の器を落としてしまいます。劉備に形勢逆転されるのも至極当然の流れと言えるでしょう。 物語そのものは、やや中弛みの感があります。馬超と許楮の一騎打...

とける、とろける


唯川恵
¥ 1,470 通常24時間以内に発送
★★★★★

とける、とろける
性における女性の感性というのは、当然にして男には判らないのだが、 知りたいという欲求は歳を経るにつれ高くなるもの。 数編の短編は、そうした男の性的好奇心を意識して書かれたかのような 感がある。こうした記述を女性はどう受け止めるのか、またまた興味が 湧いてくるところにこの本の面白さがある。 中高年男性にお勧めかな? 女性に真剣に読まれるとかえって怖いかも? 全作品の設定は異なっていても根底にあるものは同一で,著者は,とろけた先の世界をこのように感じているのかと思わせる作品でした。予想と違って,怖いです。 最近女性作家が書く官能小説というかエロティック小説集を目にする機会が多くなってきた。男としては、正直言って嬉しい。女性が描く男女の交接時のエロティックな表現、実際に女性が発するあのときの言葉、絶頂感の表現、やったものしかわからない、イッた女にしかわからないこのいやらしさの表現は本物である。 この短編集には、男女のあの凹凸の「もの」が完全にフィットする何組かのカップルを描いている作品が、いくつかある。この感じは、作者の経験からくるものか、なんて考えさせてくれる、想像させてくれる...

三国志〈7〉(吉川英治歴史時代文庫)


吉川英治
¥ 798 通常24時間以内に発送
★★★★★

三国志〈7〉(吉川英治歴史...
7巻は、関羽、張飛、玄徳とあの桃園の誓いが終焉を向かえる。 あの呂布・曹操・袁紹などとの攻防が懐かしい。 この巻は、かなり中身の濃い内容で読みごたえあり。 劉備は史上最高の軍容と領地を手に入れたが、桃園の契りを結んだ関羽が呉に討ち取られ、さらに張飛までが、味方に寝首をかかれるという悲劇が・・・ 関羽の仇をうつため孔明を連れずに呉をうちに出向いた玄徳は大敗の上に病に没する。 蜀の国にとっては斜陽の道の始まりですが、これを境に主役は完全に孔明となり、孔明を取り巻く歴史の無常を感じながら一気に読みすすんでしまいます。三国志演戯における主人公格である、劉備、関羽、張飛の桃園の三兄弟、さらには敵役の曹操までもが、相次いでその激動の生涯を閉じます。スポットライトは、蜀の大軍師諸葛亮と、遂にその姿を見せ始めた魏の将軍司馬懿のライバル対決へと移行し始め、それはすなわち、この長き物語が「終わりの始まり」を迎えたことを意味します。 ハイライトは蜀と呉の決戦「夷陵の戦い」。劉備は、重臣の言に耳を貸さず、敵将を若輩と侮った末、一夜にして大軍勢を炎の中に失う。その様は、かの「赤壁の戦い」の焼き直しを見ているか...

三国志 (8) (吉川英治歴史時代文庫 (40))


吉川英治
¥ 798 通常24時間以内に発送
★★★★★

三国志 (8) (吉川英治...
第8巻は、玄徳亡きあと孔明が主人公。またかつての三国志の英雄たちもなきあと、司馬仲達との戦いが続く。孔明の一つ一つの策が、現代のビジネスや人生観につながる。 まさに格言に近いと思います。三顧の礼から、天下三分の計〜、関羽、張飛、超雲らの優秀なプレーヤーとエース玄徳を盛上げる名参謀。まさにいろんな場面で「孔明ならどうしたか?」と考えてしまうケースもあるでしょう。 三国志という物語を超えてしまった感がありますが、最後まで主を想い、国を想う彼の一途な 「志」は今の時代に必要な「気概」だと思うのは自分だけでしょうか。また吉川三国志を読機会を持ちたい。孔明が死ぬまで中原征服に向けてまい進しついにこれを果たせず死んでいく巻。 原書のひとつである三国志演義では司馬氏率いる晋に三国が統一されるまでを記述しているが、吉川英治の三国志は孔明の死とともに物語が終わっている。 孔明ほどの天才軍師でも中原征服をなしえなかったことに非常な残念さを感じつつ物語が終わってしまうが、篇外余禄に孔明の人となり、その後の歴史が記載されている。 この中で、「諸葛菜」は孔明のひととなりについて著者が考察を行っており、非常にお...

悪人


吉田修一
¥ 1,890 通常24時間以内に発送
★★★★★

悪人
そんなつもりではなかったとです。 「吉田修一って作家名、なんか聞いたことある」くらいのもんでした。 本はうんざりするくらいぶ厚く、こげな本読もうなんて更々なかったとです。 一気に読みました。読ませられたとです。 【いつでもつながる】携帯の先にあるものってなんやろね。 ・・・・孤独感・・・・焦燥・・・・ 言葉にできないもどかしさが胸をかきむしるとです。 「悪人」というタイトルには違和感もあるとじゃけど 滅びにいたる道は、普通に何気なくそこにあるもんなんじゃろな。 祐一! お前はホンに優しか男なんじゃね。 一体誰が「悪人」なんじゃろね。つらかね。 でもその弱さは罪なんよ。 祐一! 最後のお前のあの行動は、全てを超えた優しさやったね。 三瀬峠に花ば手向けに行こうごたるよ。 ありがと! この本に出会えてホンにうれしかよ。 おなごの人にぜひぜひ読んでほしかとよ。 最初はあまり作品に入っていけませんでした。自分も経験した虚飾の若い世代の表現の仕方がとてもリアルで読んでいる私が身につまされるような・・・。そのうちに時間も忘れて引き込まれて、泣きました。誰が...

日本近代文学の名作 (新潮文庫 よ 20-3)


吉本隆明
¥ 420 通常24時間以内に発送
★★★★

日本近代文学の名作 (新潮...
日本の近代文学について、作家ごとにコンパクトに、しかも鋭くまとめられている。 吉本さんは、目もあまり見えなくなり、足腰もかなり厳しいが、アタマの中は相変わらずすばらしい。いや、肉体的な衰えが逆に精神に反作用しているのかもしれない。 内容から一人、宮沢賢治を紹介しよう。彼が国柱会に所属し熱烈な日蓮主義者だったことが取り上げられ、にもかかわらず作品は宗教的なプロパガンダになっていない。その意味ではプロレタリア文学が政治的プロパガンダになっていることと比べて、賢治のすばらしさであると書いている。 然り、である。 作家の写真も載っているのだが、印象的だったのが川端が映画「伊豆の踊り子」のロケ中に吉永小百合を遠くから見ている感じの写真だ。自死した川端のことを思うと、なんとなく、とどかない「美」にあこがれている感じがした。 吉本さんの長文はかなり難解だが、語りおろしで、かつ短いので、要点がピシッと決まっている。これを機会に、もう一度各作家の作品にあたってみたくった。多くの読書論、読書術の類が出回っているが、いずれも読書を直接的に自らの出世やサバイバルの手段の一環として役立てようとするものだ。 ...

高熱隧道 (新潮文庫)


吉村昭
¥ 420 通常24時間以内に発送
★★★★★

高熱隧道 (新潮文庫)
本書は、黒部発電所を作るための隧道(トンネル)工事で、何が起こったのかを詳細に記述したドキュメントです。 雪深い黒部でのトンネル工事で、内部温度が160度という信じられない状況に目を疑います。そこで発生する事故による死者の山。 それでも黙々と、完成ま陣頭指揮をする主人公。 昭和の男達の熱さと、持たざる者の悲哀が縦糸と横糸になって物語が進行して行く筆致に圧倒されました。 吉村昭氏の小説で感銘を受けたものの1つが「白い航跡」であった。かの小説では、明治時代の実在する医師の物語であったし、評定のあるように記述文学の話も頭にあったことから、小説の登場人物は実在するものと考えており、その通りだった。 この「高熱隧道」においても、読み進んでいったところすべてが本当のところと思い込んだのだが、それはあとがきで裏切られる。状況や心情など、細かい取材があって作り出される現実の描写とそれによって生まれる小説の様は見事。<調べた小説>として解説がされている。 他のReviewerが述べているように、この小説は黒部第三発電所の物語である。プロジェクトXや「黒部の太陽」で話題になっている黒部ダム第四発電所の...